民法と相続税法
民法と相続税法で異なる相続放棄の効果
相続放棄をした人は、民法上は最初から相続人ではなかったものとして扱われますが、相続税法上は法定相続人として扱われます。
つまり、相続放棄をした場合、相続財産を取得することはできませんが、生命保険の受取人として保険金を取得したり、特定遺贈を受けたりすることは可能であり、その場合には相続税の納税義務が生じることになるのです。
そして、納税義務が生じた場合には、相続放棄者は相続人ではなかったことになりますから、他の相続人と異なり、生命保険金等の非課税規定、退職手当金等の非課税規定、債務控除の規定などの適用を受けることができません。
また、相続税の基礎控除を算定する場合、相続放棄者も相続放棄がなかったものとして法定相続人の数に含めて計算することになります。
なお、相続放棄では代襲相続がありませんから相続人の数に含められるのは相続放棄者本人のみです。
このように、民法と相続税法では、相続放棄した場合の取り扱いが異なりますので、法定相続人の1人が相続放棄をしたとしても、他の相続人が相続税の申告をする場合には無関係ではいられません。
例えば、自分は生命保険の保険金を受け取ったから、あとは相続放棄をしてしまえば相続税なんて関係ない、というわけにはいきませんので注意が必要です。