会社の借金と相続放棄

会社の借金は相続するのか


父が亡くなり、経営していた会社に多額の借金が残っている事が判明しました。
この借金は会社の取引なので私たち相続人には関係ない事なのでしょうか?

このような相談がありました。では借金は相続されるのでしょうか?

こういったケースにおいて借金が相続されるか否かは、被相続人がどのような形態で事業活動を営んでいたかによって変わってきます。

以下場合を分けて検討しましょう。

1,被相続人が個人事業主だった場合

この場合、個人事業主は被相続人と同一人格であるので個人を相続する場合と同様に考えられます。(民法896条)
したがって、相続人は当然に借金を相続することになります。

2,被相続人が株式会社の代表取締役だった場合

この場合、被相続人と株式会社は別人格であり、また株主有限責任の原則(会社法104条)により原則として相続人は会社の借金を相続しません。
ただし、小規模の会社では、銀行等から借入をする際に、社長個人を「連帯保証人」として契約する場合が多いです。
そうなると、会社と社長はほぼ同様の責任を負うことになり、保証の範囲で相続が発生することになります。(民法446条、454条)

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    民法 第896条(相続の一般的効力)
    相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
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    会社法 104条(株主の責任)
    株主の責任は、その有する株式の引受価格を限度とする。
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3,被相続人が持分会社の社員だった場合

(1)有限責任社員の場合
有限責任(会社法580条2項)により株主の場合と同様原則として相続人は会社の借金を相続しません。

(2)無限責任社員の場合
社員(=個人)は被相続人と同一人格であるので社員が有していた権利義務は、個人の相続と同様に考えられます。(民法896条)
従って相続人も被相続人と同様に無限責任社員としての義務を引き継ぐため、結果的に会社の借金も相続することになります。

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    会社法 第580条(社員の責任)
    1 社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
    一  当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
    二  当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合
    (社員が、当該持分会社に弁済をする資力があり、かつ、強制執行が容易であることを証明した場合を除く。)
    2 有限責任社員は、その出資の価額(既に持分会社に対し履行した出資の価額を除く。)を限度として、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
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上記で検討したとおり、会社の借金と言っても様々な場合が考えられます。
お困りの際は一度、弁護士や司法書士などにご相談されることも選択肢の一つではないでしょうか。

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