未成年者が相続放棄する場合
未成年者の相続放棄手続について
未成年者が相続放棄をする場合は、親権者が未成年者の代わりに相続放棄の申し立てをすることになります。
しかし、
①被相続人がなくなり、
②配偶者(親権者)が被相続人の財産のすべてを受け取り、
③未成年の子供が相続放棄をする場合は、
親権者が相続放棄の申し立てをすることができません。
なぜなら、子どもに相続放棄をさせると親権者は自分の取り分が増加するためです。
そのため、未成年者の相続放棄を進める人を決めなければなりません。
この人は裁判所の許可を得て「特別代理人」となり未成年者のために遺産分割協議や相続放棄をすることになります。
未成年者のために特別代理人を選任する場合の民法上の条文は以下の通りです。
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第826条(利益相反行為)
1.親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2.親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
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この【利益相反行為】とは、法律行為自体や外形からみて、親権者の利益になるが未成年者にとっては不利益になる行為、又は親権に服する子の一方には利益になるが他方の子にとっては不利益になる行為のことをいいます。
具体的には、以下のような行為があります。
■利益相反行為と判断される行為
②複数の未成年者の法定代理人として遺産分割協議をする行為
③親権者の債務の担保のため未成年者の所有する不動産に抵当権を設定する行為
④相続人である母(又は父)が未成年者についてのみ相続放棄の申述をする行為
⑤同一の親権に服する未成年者の一部の者だけ相続放棄の申述をする行為
⑥後見人が15歳未満の被後見人と養子縁組する行為
などが該当します。
ただ、この場合でも、親権者と子が同時に相続放棄をする際には、特別代理人は必要ありません。
親権者が親権者として未成年者の手続きを代理することができます。
親権者と子が同時に相続放棄をした場合、利益相反行為ではないためです。
それでは「特別代理人」を選任するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。
親権者又は利害関係人が未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に特別代理人選任の審判を申し立てます。
また、申立てには収入印紙800円分(子1人につき)及び各家庭裁判所で指定されている郵便切手が必要になります。
となっております。
特別代理人選任の申立についてもご対応いたしますのでご相談頂ければと思います。