認知症と相続放棄
認知症と相続放棄について
家族が亡くなって、相続放棄したいけど、相続人の中に認知症の人がいるケースは珍しくないと思います。
相続放棄をするには意思能力(自分の行為の性質や結果を判断できる能力)が必要であり、認知症の方は意思能力がない場合が多く、意思能力がない限り、自分では相続放棄ができません。
こういった場合は、家庭裁判所で成年後見人の選任手続きを行い、成年後見人が認知症の方を代理して相続放棄することができます。この成年後見人には他の相続人である認知症の方の家族もなることができます。
ただ、成年後見人になった相続人と認知症の相続人(成年被後見人)が一緒に相続放棄する時は、成年後見人が成年被後見人を代理して相続放棄できます(最高裁昭和53年2月24日)が、成年後見人となった相続人自らは相続放棄しないのに、成年被後見人が相続放棄をする場合は、後見監督人がいない場合は、成年後見人は成年被後見人を代理して相続放棄することはできず、特別代理人を新たに選任する必要があります(民法860条)。